〜“住み替えの第一歩”は、いま住んでいる家の価値を知ること〜
■ はじめに:マンションを「売る」という現実に直面
「戸建てに住み替えたい」と思い始めた私。
しかし、その前に必ずやらなければならないことがありました。
それが――いま住んでいる分譲マンションの査定です。
5年前に購入したとき、もちろん住宅ローンを組みました。
毎月の返済にも慣れ、当時は“売却”なんて考えたこともなかったのですが、
住み替えを考えるとき、いまの家をどうするかは避けて通れません。
👨🦱私「そういえば、このマンションって、今いくらで売れるんだろう…」
👩🦰妻「たしかに。ローンの残りより安かったら、引っ越しできないよね」
そう、問題はそこです。
もし売却価格が住宅ローンの残債を下回っていたら、“売るに売れない”状況になってしまうのです。
■ 住み替えの壁「残債が売却価格を上回る」とどうなる?
住宅ローンには、「抵当権(ていとうけん)」という仕組みがあります。
簡単に言えば、ローンを完済しない限り、マンションの所有権は完全には自分のものになっていません。
そのため、ローンが残った状態では、原則として売却できないのです。
👨🦱私「もし売却価格が残債より低かったら…?」
👩🦰妻「その差額を現金で払わないとダメってこと?」
👨🦱私「うん。しかも、新しい家のローンも組めなくなる可能性がある」
つまり、「ローンの残債 > 売却価格」になると、
新居の購入も、住み替えもストップしてしまうわけです。
このため、私はまず冷静に、現在のマンションの価値を知ることから始めました。
■ 査定の第一歩:管理会社への連絡
私のマンションは、全国展開している大手デベロッパーの物件。
管理会社もしっかりしており、共用部分の清掃や修繕もきちんと行われています。
「築5年」なので、まだ新しさも残っています。
まず私は、そのマンションの管理会社に査定を依頼しました。
多くの管理会社や販売元は、
自社グループの不動産仲介会社と連携しており、オーナー向けに「無料査定サービス」を行っています。
👨🦱私「お世話になっております。実は、住み替えを検討しておりまして…」
🧑💼担当者「承知いたしました。簡易査定をご希望ですね? すぐ対応いたします」
驚いたのは、そのスピード感。
最近はAI(人工知能)を活用した査定システムがあり、
過去の成約事例や周辺相場、駅距離、階数、築年数などをもとに瞬時に査定価格を算出してくれます。
■ AI査定とは? 〜精度と限界〜
AI査定はとても便利です。
私も、スマホから入力してわずか5分で結果を受け取りました。
AI査定でわかるのは、
- 想定売却価格(上限・下限)
- 想定賃貸価格
- 周辺の売却実績
などのデータ。
数字で見るとリアルに感じられます。
👨🦱私「おお…思ったより高いかもしれない!」
👩🦰妻「本当にその値段で売れるのかな?」
ただし注意すべきなのは、AI査定は“目安”にすぎないという点です。
マンションの向き、日当たり、リフォーム状況、管理状態など、
人が現地で見ないと判断できない要素は反映されません。
ですので、AI査定を「第一段階」として使い、
その後に**実査定(訪問査定)**を依頼するのが理想です。
■ マンション査定でチェックされるポイント
査定時に重視される項目は、大きく分けて次の5つです。
- 立地(駅距離・利便性)
→ 駅徒歩10分以内は高評価。周辺の商業施設や学校も影響。 - 築年数と修繕状況
→ 築10年以内は特に人気。管理状態も価格に直結。 - 階数・方角・眺望
→ 南向き・中層階〜上層階は価格が高くなりやすい。 - 間取りと広さ
→ ファミリー層に人気の3LDK前後が売れやすい。 - 管理費・修繕積立金のバランス
→ 管理が行き届いていても、費用が高すぎると敬遠される。
🧑💼担当者「南向き・角部屋というのは大きな強みですね」
👨🦱私「そうですか。日当たりがいいのは確かに気に入ってました」
私のマンションは「駅徒歩7分」「角部屋」「築5年」。
条件としては悪くありません。
ただ、築浅マンションは新築との差別化が難しく、
価格設定を誤ると売れ残るリスクもあると教わりました。
■ 査定を依頼する際のコツ
ここで、私が実際に感じた「査定を依頼するコツ」をいくつか紹介します。
① 1社ではなく、複数社に依頼する
査定額は会社によって異なります。
たとえば、同じ物件でも
A社:4,800万円
B社:5,200万円
C社:4,600万円
と、数百万円の差が出ることも珍しくありません。
相場感を知るためにも、最低でも3社以上に査定を依頼するのがおすすめです。
② 「高く売りたい」と正直に伝える
遠慮せず、自分の希望を率直に話しましょう。
不動産会社も売主の希望をもとに販売戦略を立てるため、
「できるだけ高く売りたい」「住み替えの時期は○月までに」と伝えるとスムーズです。
③ 査定は“売却前提”でなくてもOK
私はこの段階では「すぐに売る」つもりではありませんでした。
しかし、担当者からはこう言われました。
🧑💼担当者「売る予定がなくても、今の資産価値を知っておくのは大切です」
まさにその通り。
“いま売ったらいくらか”を把握しておくことで、
住み替え計画の見通しが立てやすくなります。
■ 査定の結果、わかる3つのシナリオ
査定価格とローン残高を比較すると、次の3パターンが考えられます。
| 状況 | 内容 | 対応策 |
|---|---|---|
| ① 売却価格 > 残債 | 売却で完済・次の頭金にも回せる | ベストな住み替えタイミング |
| ② 売却価格 = 残債 | 売却で完済できるが、余裕なし | タイミングや諸費用に注意 |
| ③ 売却価格 < 残債 | 売却してもローンが残る | 住み替えローンや一部繰上返済を検討 |
特に③のケースでは、金融機関との相談が必須です。
「住み替えローン」という制度を利用すれば、
古いローンを新しいローンにまとめることもできますが、
審査はやや厳しく、返済負担も増えるため慎重に判断する必要があります。
■ 査定結果を受けて感じたこと
数日後、メールで届いた査定結果。
画面を開くと、上限と下限の価格が表示されていました。
👨🦱私「うん、思ってたよりも悪くないな」
👩🦰妻「このくらいなら、次の家の頭金にできそうね」
ローン残高と照らし合わせると、ギリギリ完済できるライン。
「これなら住み替えも現実的かもしれない」と感じました。
とはいえ、AI査定はあくまで“参考値”。
次回は、実際に不動産会社に来てもらい、**訪問査定(実査定)**を依頼する予定です。
■ まとめ:家を買う前に、いまの家の価値を知ろう
マンションから戸建てへの住み替えを考えるなら、
まず最初にやるべきことは、**「現在のマンションの査定」**です。
なぜなら――
家を「買う」よりも先に、「売る準備」をしないと、
資金計画が立てられないからです。
✅ AI査定で、まず相場をつかむ
✅ 管理会社や複数社から査定を取る
✅ 売却価格とローン残高を比較する
この3つを押さえるだけで、住み替えの現実的な見通しが立ちます。
👨🦱私「次は訪問査定をお願いしてみようか」
👩🦰妻「うん。実際に見てもらったほうが確実だね」
いよいよ、我が家の“資産価値”が明らかになるとき。
次回は、訪問査定で見えてきたリアルな数字と、売却戦略についてお話しします。
